三八 青森の経済ニュース

八戸の田名部組 中亀建設(盛岡)を経営統合

2020.03.11

握手を交わす田名部社長(左)と中村社長

 青森県八戸市の総合建設業「田名部組」(田名部智之社長)は10日、盛岡市の「中亀建設」(中村康彦社長)の全株式を取得し、田名部組のグループ企業として経営統合すると発表した。岩手県内に拠点をつくり、営業エリアをさらに充実させるのが狙い。田名部組によると、中亀建設が加わることでグループの今年の完成工事高は120億円を見込み、東北でも上位10社に入る規模に増大するという。

 中亀建設は1911年創業の老舗で、従業員は25人。盛岡市を中心に岩手県内で事業を展開し、鉄道インフラなどの公共建築工事に強みがあり、今年の完成工事高は15億円を見込む。株式の取得は3月26日の予定。中亀建設の名称と営業形態はこれまで通りで、従業員も引き続き雇用する。

 中亀建設の新体制で中村社長は留任し、専務に田名部組の小林隆男常務が就任。田名部組から田名部社長と加茂智雄・仙台支店副支店長が非常勤の取締役に就く。

 両社によると、民間工事や公共土木工事に強みがある田名部組と、公共建築工事を得意とする中亀建設は、互いの弱点を補い合う関係にあるという。10日、八戸市石堂の田名部組本社で開いた会見で、田名部社長は「岩手県内に安定した収益基盤を持つ中亀建設との協力で、グループ全体の売上高や利益の拡大が期待できる」と強調した。

 また、田名部組はこれまで十和田市の建築工事業「ジェイホーム」や同市の不動産業「アットプラス」、八戸市の土木工事業「八幡建設」を経営統合するなど、グループの収益基盤強化に取り組んできた。田名部社長は「人口の規模を考えれば地方ゼネコンは多すぎで、早く再編しないと成り立たなくなる。グループ全体の完成工事高を5年以内に、北東北ナンバーワンの300億円にする」と見通しを示した。

(東奥日報社)