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フォルテ(青森)がリチウム固体電池開発

2019.11.12

フォルテが開発した薄型のリチウム固体電池の試作版

 青森市のIT企業「フォルテ」(葛西純代表取締役)が、電解質に固体を使った厚さ約0.2ミリの超薄型リチウム固体電池を開発した。従来のリチウムイオン電池は電解質に引火性のある有機溶媒の液体を使っているが、固体に置き換えたことで液漏れや発火の恐れがなくなった。年明けから販売用のサンプル品を量産する予定で、既に自動車メーカーなど数社から問い合わせがきている。フォルテの同電池を電源にした位置情報端末を来年1月の大学駅伝のたすきに装着することも検討されるなど、あらゆる機器を通信でつなぐIoTの広がりに寄与することが期待される。

 リチウムイオン電池は何度も充電して使える「2次電池」で、正極と負極の間をリチウムイオンが移動して充電や放電をする。パソコンやスマートフォン、電気自動車など広く使われている。同社によると、電解液を使う従来の電池は充放電でガスが発生して膨張する危険性があり、劣化の原因にもなっていた。

 国内では燃えにくい電解液を使ったリチウムイオン電池や、固体電池の開発が進められているが、同社によると固体で0.2ミリの薄さを実現したのは初めてとみられる。

 同社は、衛星を使った自社の位置情報端末の電池を軽量化したり、電池交換のコストを削減するため、リチウム固体電池の開発に着手した。

 端末開発で連携した岩手大学や、岩手県工業技術センターの協力を得て、電解液を無機の酸化物系固体電解質に置き換えることに成功した。

 安全性に加え軽量化も図られ、従来のリチウムイオン電池より3倍程度長持ちする。加工もしやすく、最も薄いものは0.2ミリだが、何枚も重ねたり面積を大きくするなどして蓄電容量を変えることで、さまざまな製品に対応可能だという。

 リチウム固体電池の特長を生かして軽量化した位置情報端末を大学駅伝の選手がつなぐたすきに装着する検討もされている。

 同社は、今年7月に岩手県花巻市の貸し工場を借り量産化の準備を整えた。電池事業をIoT事業と並ぶ収益の柱に育てる方針。同社は本年度の売上高を5億円と見込んでいるが、電池事業の推進により2022年度には50億円を目指すという。

 葛西代表取締役は「スマートグラス(眼鏡型端末)や運動靴に取り付けるなど、さまざまな物にエネルギーを実装できる可能性が広がる。いろいろな会社の製品に使ってもらい、新しい価値を社会に還元したい」と話した。

(東奥日報社)