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金山焼 陶芸教室講師が新工房で活動本格化

2019.05.07

大溜池を望む工房でコップをつくる中鉢さん
大溜池を望む工房でコップをつくる中鉢さん

 青森県五所川原市の津軽金山焼で陶芸教室の講師を務めていた陶芸家・中鉢(ちゅうばち)徹さん(50)が2018年に独立、自らの工房を構えて本格的な活動を始めた。同窯から独立し、金山地区で作陶を続けるのは中鉢さんが初めて。津軽金山焼の窯元松宮亮二さんが抱く焼き物の産地づくりの夢に共感し「自分が最初の一歩になれば」と意欲を見せる。

 中鉢さんの工房「ちゅうばち窯」は、津軽金山焼の窯場から1キロほど離れた大溜池(ためいけ)のほとりにある。自宅と工房、駐車スペースがあり、将来的には敷地の一角に自身の窯を造る予定だ。工房の広さは約90平方メートルあり、自ら作品を制作するほか数十人単位での陶芸体験・教室を受け入れている。

 中鉢さんがこの場所を選んだ理由の一つがロケーションだ。工房の窓際に立つと目の前に大溜池が広がる。周りの木々は季節によって彩りを変え、冬になるとハクチョウをはじめ渡り鳥が飛来する。「池越しに見る朝日がきれい。周りの環境の影響を受け、それを作品に落とし込むことができたらいい。この良い環境を作品に反映させたい」と話す。

 出身は神奈川県横浜市。幼いころから日本の伝統工芸に興味があった。中学3年生の三者面談では「焼き物をやりたいと言ったら、母親と先生に絶句された」と笑う。埼玉県春日部市の専門学校で陶芸を学び、都内で陶芸教室を開いていた。妻悦子さん(53)が板柳町出身だったことなどから松宮さんの元へ通うようになり、08年に家族とともに五所川原市に移り住んだ。

 「津軽金山焼は釉薬(ゆうやく)を使わない焼き締めという技法でつくる。土とまきと窯で勝負する。火の入り方や温度、燃焼の仕方で色などが違ってくる。灰のかぶり方、炭やわらを載せることでさまざまな表情を見せる。同じ器を二つつくることはできない。そこが面白い」と魅力を語る。

 津軽で暮らし、土、まき、火と向き合って10年余。「そろそろ自分の地盤を築きたい。いいタイミングだと思った」と独立を決めた。東京で陶芸教室を開いていた時は、主に青磁作品を制作していた。焼き締めの金山焼とは異なり釉薬を使う制作方法だが、これからはさまざまなものを取り入れたいと考えている。

 「自分の窯を持つようになったらいろいろなものに挑戦してみたい。仮に釉薬を使っても地元の土、木を使って焼いていれば金山焼でいいと思う。試行錯誤しながら自分のスタイルを確立したい。また、焼き物の産地をつくるために陶芸教室などを通して裾野を広げていきたい」と次の目標を語った。

(東奥日報社)